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2015/04/28 一人でも大人になること

 昨日、映画を観に行ってきました。
 先週の初め頃に体調を崩してから外に出ることもほとんどなかったので、映画を観に行くのも久々で、最後に行ったのは3週前の4月15日「小さな恋のメロディ」のリバイバル上映で、東京の映画館となるともっと前。4月7日、早稲田松竹イングマール・ベルイマン二本立てですから、ちょうど3週間前になります。一時期は毎週のように映画館に行っていましたから、その時期と比べると大分間が空いてしましましたね。

 行ってきたのは下北沢にあるトリウッドという映画館と、シネマヴェーラ渋谷という名画座で、前者は今回が初めてでした。トリウッドでは新海誠監督の30分の短編映画「ほしのこえ」を、シネマヴェーラではエルンスト・ルビッチの「淑女超特急」「生きるべきか死ぬべきか」を観て来ました。トリウッドでの上映が15時、シネマヴェーラでの上映が17時50分からだったので、先に下北沢に行き、それから渋谷へ行きました。

 下北沢に行くこと自体が初めてだったので、無事辿り着くまでかなり苦労させられました。前日あまり寝れずに3時に目が覚めてしまい、それから起きて過ごし、9時に1時間ほど仮眠を摂って家を出たのですが、体調は優れず目眩と腹痛・吐き気がひどく、冷房機器のある電車内でも一向に良くなりませんでした。乗換駅の渋谷についても体調は悪くなる一方で、もうこのまま倒れてしまいたいと思ったほどでした。
計画も甘く路線やトリウッドへの行き先もちゃんと調べていなかったので、渋谷駅では全ての路線の改札を見て回って下北沢駅に停車する路線を探さなくてはならず、下北沢へ着いてもトリウッドの場所が分からず、コンビニエンスストアWi-Fiを拾って地図を確認しても、私の距離感覚の悪さでは大体この辺りにあるということくらいしか分からず、30分以上歩き回っていました。

 商店街のある通りからすこし小道に入ったところにあるトリウッドを発見したのは、シアター開場の5分前でした。単館シアターの中でもかなり規模の小さい映画館で休憩室もなく、シアター内も席数はわずか47席で傾斜もなく、きわめて小ぢんまりしていました。

 映画自体は既に何度も観ているので、この作品に対してのファースト・インプレッションなどを語ることは出来ないのですが、それでもこの「ほしのこえ」を含めた、新海誠作品の多くは私の中で非常に大きな、忘れられない映像体験になっています。新海誠作品の多くは現実を舞台にしながらもどこか夢物語めいていてクサく感じられるところがありますが、そんなところもなんだからしく感じられて、私は好きです。きっとこんな混じりっけのない恋物語なんて実際に在りはしないだろうけれども、いろんなものを感じとり、それらに悩まされ、苦しみながら、それでも真っ直ぐに生きることを夢見ている人であれば、少なからずこんな物語を夢想したり、やりきれない思いを秘めていたりしたのではないかな、と思います。そういう意味では、そうした個人的感情と物語との線によって成り立っている作品だと言えるかもしれませんね。

 それから、私はこの作品でとても好きな台詞があります。

…… だから僕は目標をたてた
もっともっと、心を固く冷たく強くすること
絶対に開かないとわかっている扉をいつまでも叩いたりしないこと
オレは……一人でも大人になること

最後に観直してからひと月も経っていないこの作品をわざわざ鑑賞チケットと同じくらいの電車賃と時間をかけて観に行こうと思ったのは、この台詞をもっと密に感じたかったからではないかと思います。とても青臭い台詞だけれども、この台詞を笑ったりせずに聴いていられるうちは、この主人公と同じように青年のままでいられるような気がします。
たった30分ほどの映画でしたけれど、それでも観終わったときにはなんだかもっと長い時間を過ごしたようにも感じられました。上映が終わって外に出た時に、上映が始まる前と全く変わらない風景が広がっているのがなんだか不思議で、私だけ別世界にいたような、そんな気持ちにさせられました。……


 ここまでだけでだいぶ長くなってしまったので、続きは分けて書こうかと思います。