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下北沢 珈琲・音楽「いーはとーぼ」

2015/04/28

 下北沢トリウッドへ「ほしのこえ」を観に行ったあとに、いーはとーぼという喫茶店に行ってきました。

 井の頭線小田急線停車の下北沢駅から北側へ少し歩いたところにある喫茶店で、小店が多い場所にあることもあって、見つけるのにいくらか時間がかかりました。小さなビルの二階でやっていて、入り口には古めかしい「珈琲音楽 いーはとーぼ」と書かれた看板があり、階段の壁には映画や音楽のフライヤーが。入り口前には使い込まれ日焼けした古本が文庫ハードカバーと種類構わず無造作に並べられていました。

 中に入ると店主さんが客席で窓の外を眺めながら黄昏れていて、私が声をかけるまで気づかないようでした。その姿がなんだか格好良かったので、私も、と思い、店主さんが座っていた方とは別の、東側の窓の席に座りました。


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フレンチローストB・500円

 注文したのはブレンドコーヒーで、フレンチローストA/Bとイタリアンローストの3つの中から、フレンチローストBを選びました。ちゃんと一杯ずつ淹れてくれているようで、注文してまもなくコーヒーを挽くミルの音や、コンロをつける音が。
古い喫茶店(調べたら1977年開店だとか)としては珍しく酸味のないブレンドを揃えていて、わりと今の人好みの味でした。注文前に渋味が強いけれど大丈夫、と聞かれたので年季の入った味なのかと思いきや、深味はあるものの喉にきつく残るような嫌味はなく、砂糖にも馴染む調和のとれた味でした。


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 「いーはとーぼ」という名前から、ベートーヴェンの第六交響曲ドヴォルザークの第九交響曲が流れているのかと思っていたのですが、実際はジャズ系で、それもかなり今風のもの(こういうのはモダン・ジャズとか言うのでしょうか)でした。私の後から来た年配のお客さんともジャズの新譜の話などをしていたようだったので、時代を問わずいいものを選んでいる、と言った感じなのだと思います。

 それから音楽と同じくらい興味を引いたのは、店内にも所狭しと並べられた本の数々で、こちらも全集から単行本、文庫本、個人執筆のコピー本まで幅広くカバーしていました。私の目についたのはポール・オースター「偶然の音楽」と最近出たばかりの又吉直樹「火花」だとか。文芸書がメインのようですが、こちらも教養主義に凝り固まった文学ジジイ趣味というわけではなく、最近の話題作にも手を付けているよう。それにしても、単行本で結構な値の張る話題作だというのに、もう自分は読んだから好きにしてくれと言わんばかりに一番目立つ場所にどんと置いてあるのがなんともいい感じです。最近では神楽坂の新潮社近くにある「かもめブックス」を筆頭にブックカフェなるものが出始めていますが、どこもお高くとまった文化人気取りの溜まり場のように感じられて私にはどうもダメです。でも、こんな風に日焼けし色褪せよれた本たちが次に読んでくれる人をのんびり待っているような、こんな喫茶店ならいいなあと思います。

 午後の数十分、とてもいい時間を過ごせました。

追伸: 私の座った席の壁にジャン=リュック・ゴダールと女優の写真が貼ってありました。女優はおそらくアンナ・カリーナじゃないかと思うのですが、調べてもその写真が見つかりません。今度行く機会があれば、あらためて観直してみたいところです。