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2014/08/29 神楽坂・目黒・池袋を巡る -目黒・池袋

 飯田橋駅付近の喫茶店を出たのは、大体一時半から二時までの間だったかと思います。
 会計を済ませて、道を歩きながら次の目的地、目黒へのアクセスについて話し合ったりしていました。私が調べたところでは一度新宿で乗り換え山手線を利用して目黒に向かえる、とのことだったのですが、どうやら直通で行けるらしく、しばし別の路線を探した後、そちらに向かいました。電車に揺られている間は、ひと通り歩きまわって昼食も摂った、ということもあって、なんだかうとうとしていました。7月以来東京には来ていませんでしたし、それでなくとも身近な用時以外ではほとんど外出さえしていませんでしたから、疲れるのも無理のないことでした。アイさんの方は、旅行からもう何日目だというのにさして疲れていないらしく、座席に座りながら眠らないように目をぱちぱちやっている私を他所に、楽にしていました。

 目黒駅に到着するといくらか眠気も落ち着き、足や肩もいくらか軽くなったような心持ちがしました。しかしながら、頭の方はあまり冴えていなかったらしく、目当ての場所までの道のりを地図で調べて「きっとこう歩けばいいんですよ」などと余裕然として言ったはよかったものの、実際には方向を九十度間違えていたらしく、十分弱歩いたところで、引き返すことになってしまいました。昔からどうにも方向音痴で、今回ばかりでな
く、これまでにも駅から出て南東へ歩くところを出口を間違えて北西に向けて延々と歩き続け、1.5kmほど歩いてから交番で道を聞き間違いに気づくなどひどい間違いをしていたのですが、どうにもまだ間違うことが多々あるようです。改めてきっちり方向を確認した後目的地まで歩いて行くと、十五分ほど歩いたところでようやく目当ての建物が見えて来ました。

 行ってきたのは、目黒・寄生虫館です。こちらは私の勧めではなく、アイさん本人の希望によるもので、行ってみたいが連れ立つ人がいない、ということで私に白羽の矢が立ったのでした。
 館の名前の通り内容は寄生虫についての展示で、ビルの一階と二階で展示されています。観覧は無料ですが、運営のために寄付を募集しており、運営費のほとんどはこれによって賄われているようです。展示の詳しい内容としては、「寄生虫とはなんなのか?」「寄生虫にはどんな種類がいるのか?」「寄生虫に感染することでどのようなことになるのか?」などといった形でおおまかに大別され、順序をとってわかりやすく説明しながら寄生虫標本などを展示してありました。他にも「日本の医学史における寄生虫の歴史」などについても少し展示があり、寄生虫館設立の経緯なども知ることが出来ます。館内の景観は非常に淡白で、規模としても小さいですが、情報密度は高く、他ではあまり見られない内容ということもあって、好きな人であれば堪らないのではないかと思います。私の方は、その奇特きわまりないずらりと並んだ筒型の標本に半ば戸惑い気味で、なんだか少し変な気分でした。寄生虫なんて言う身近ながらも非日常的な事柄について、大真面目に解説・展示しているのが、なんだかおかしかったのです。
 個人的にひときわ目を引いたのが、一階にある標本の陳列の中にあったひとつの寄生虫標本で、それは、なんと女児が吐出物の中から発見された、というもので、動物の体内から検出した寄生虫標本がほとんどの中で、異的な存在感を放っておりました。女児の吐出物からでなければ標本にすることが出来ないようなしろものだったのか、それとも単なる偶然なのか……、どうなんでしょうね?
  帰りがけに、せっかく面白いものを見させてもらったから、ということで少しだけ募金箱に寄付してきました。とは言ってもほんの数百円ばかりなので、これがどれだけ寄生虫館の運営に寄与出来るのかは分かりませんけどね。

 寄生虫館を出て目黒駅に着いたのが十六時手前で、まだ時間があるので東京をぶらぶらしたい、との向こうからの希望で、もう少しだけ東京を散策することになりました。ただ、東京慣れしているわけでもなく、ましてやこの八月をほとんど家にこもって過ごしたような人間が、良い散策場所を知っているわけもなく、とりあえず池袋に戻ってみることになりました。ただ、その池袋でも特に良い場所が思い当たる場所などもなく、先月行った古本屋やゲームセンターが関の山でした。
 とりあえずは私の知っているゲームセンターに行ってすこし遊んでみようと言うことで、SEGA池袋GiGOアドアーズサンシャイン、池袋ランブルプラザなどに行ってきました。プレイしたゲームはREFLEC BEAT groovin'、maimai、太鼓の達人などリズムアクションが主で、ローカルマルチプレイなどを。太鼓の達人は今回初めてプレイしたのですが、思いの外上手く叩けず、最初は一番下のレベルさえクリアできなかったので、我ながらびっくりしてしまいました。どうやら太鼓の達人などのような体感要素を含むゲームはリフレクビートやmaimaiのようにリズムを確認する画面と操作デバイス(この場合は太鼓)の同時を視認しながらアクションをすることが難しいようです。またリフレクビートのようにリズムが取れなくても視覚情報だけ確認して目押しする、といったことも、バチで太鼓を叩く、という物理的な操作がある以上アクションに遅れが出やすい要因のようでした。そのためか、自分でここだ、と思ったポイントで叩いても遅れが出やすく、また太鼓の角を叩くという動作に慣れないこともあって、思いの外苦戦しました。リズム自体は他のリズムアクションと比べてもさして難解ではないが故に、かえってそのもやもやも大きく、「本当はもっと出来るのに……」などと考えながら、気恥ずかしさを噛み締めたりしていました。
 池袋ランブルプラザではそうしたリズムアクションではなく、レトロゲーム筐体を中心に遊んでいました。私が一年ほどプレイしているストリートファイターIIIを彼女にプレイしてもらい、四苦八苦しながらあれこれ動かしているのをくすくすしながら眺めたり、ぷよぷよボンバーマンなど、比較的有名なレトロゲーム筐体を触ったりしていました。こちらはどちらかと言うと私が個人的にどんな風にプレイされるのか、という興味から連れて行ってみた、というところが大きく、楽しんでもらえるかは半ば疑問だったのですが、なかなか楽しんでいただけたようでほっとしました。

 ここで丁度時刻も十九時になり、日も落ちた、ということでお別れしました。最後に今日のお礼や簡単な挨拶をした上で池袋駅埼京線改札前まで見送り、私もその後に帰る路線に乗り込みました。席に座ってヘッドフォンから音楽を流しているとすぐにうとうとして来て、首かくかくさせてはハッと目覚める、というのを繰り返しながら帰路に着きました。

 今日行ったところといえば、一般的な東京旅行ではあまり行かないような、地味なところが多かったですが、それでも中々楽しんでもらえたようでよかったです。また、今日のことは、むしろ私の方からもお礼を言う必要があるでしょう。今回がなければ、本当にせっかくの夏をこもりきりで過ごしていたでしょうし、先の上野散策ですっかり東京という土地に通俗的で不清潔なイメージを持っていた私の精神的リハビリには、この神楽坂という落ち着いた街は、この上なく最適な場所だったと思いますし、私の勧めに乗ってくれた彼女には感謝しなくてはなりません。
 これからまたこもりきりの生活では甲斐がありませんし、これからは積極的に街に出ていくようにしないといけませんね、