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アニメ:COWBOY BEBOP

2071年の太陽系を舞台として、スペースシップ・ビバップ号に乗り、政府等の機関より賞金の掛けられた犯罪者やお尋ね者を捕まえて暮らすカウボーイ、スパイク・スピーゲル、ジェットブラックたちの活躍を描いたSFアニメーション。全二十六話。

ハードボイルドな雰囲気と、SFチックな世界観に以前から惹かれており、観ようと思っていた作品で、先月の初めごろから見始め、先日見終えた。

期待通りの内容で、カウボーイ二人組を中心として、太陽の各惑星を巡りながら数々の賞金首たちを捕まえていく、という極めてシンプルなもの。
明確なストーリーというものはなく、一人二人の賞金首を捕まえる、という小話を毎話流しながら、時々に登場人物たちの背景や内に抱えている問題であったりを描いていく、という形式になっている。そのため、全体を通してクールな雰囲気と世界観は保ちつつもテイストは毎話異なり、未来都市で大暴れする、というような話もあれば、人の全く居ない荒廃した土地を舞台にした話もある。各話毎に全く違う話を愉しめるのが非常に良く、中々飽きが来ない。
絵柄も、全体的に男らしさのようなものを追及した絵柄で、昨今特に見られるような可愛らしい未成年少女があれやこれや、といった事が無いのもいい(このアニメが制作されたのは1999年なので、現在のアニメと比較するのは筋違いな感もあるが)。全体を通して大人を意識したつくりで、キャラクター同士の掛け合いなどはアニメーションっぽさを残しながらも、ドラマや映画にも近い。「SF要素を大きく盛り込んだルパン三世」と書けば分かり易いだろうか。製作社などについての共通点についてはよく知らないし、おそらくないとは思うが、テイストはそれらと酷似している。
が、だからと言って「ルパン三世のパクり」などと言う勿れ。前述のとおり、SF要素を大きく盛り込んでいるため、男臭いながらも世界観や物語の展開はそれぞれに違い、一緒くたにして考えてはいけない。

私の一番のお気に入りの甲斐は、第一回。正直、どの回も非常に面白くはあった物の、この初回を超える出来の回は、最後まで出て来なかったのではないかな、と思う。
カウボーイのスパイクとジェットの二人組が非合法薬の開発・売買を行っていた男アシモフとその恋人カテリーナを追う、という話なのだが、一話目からそのハードボイルドな雰囲気とSFチックな世界観が全開で、まるで映画を見ているような感覚に陥るほどの迫力と様相に、息を呑むほかなくなってしまう。
この一話だけでも、実際に一作アニメーションムービーとして作れてしまうくらいに密度が高く、濃い内容を扱っている。この一話を観る為に、数千円のディスク一枚を購入しても惜しくないくらい。だが、これがまた良心的なことに、その一話を公式ウェブページで無料配信なんてしてくれている。勿論私の個人的見識と嗜好のみに基づいて「最高傑作は一話」と豪語しているために、他の人も同様に同じ感想を持ってくれるかは正直自身が無いのだが……気になる人は是非、一話をためしに見て貰いたい。

が、絶賛ばかりもしていられない。少しだが不満点はある。
物語と小話の連続という形で進行したため、物語に帰結する部分と言うのが無く、最終回もある登場人物の死という形で終わりとなるのだが、今一つピンと来ないと言うか、その後の展開がどうなるのか?と考えた時に不可解さが残る。こうしてしまうと在り来たりだと文句をつけられてしまうが、物語としての終わりを見せず、今日もまた賞金首を追い求める――と言ったような締め方でも悪くはなかったんじゃないかな、と思った。
それから、中盤から登場し、スパイクらと共に旅をする少女(少年?)と、初盤に成り行きで買う羽目になった犬がいるのだが、これらは態々男臭いテイストに水を掛けるような真似をしてまで追加させる必要はあったのかな、と思う。もちろん、彼ら(彼女ら?)にも役割があり、時々に彼らが中心となって、くすりとくるシーンを作ってくれたりするのだが、全体的におふざけ役みたいな感があり、地で行く男らしさを求める私には特に魅力的には感じられなかったかな、という印象がある。だが、これも一概に否定しきれない部分で、この少女が中盤の名回と評される#14「ボヘミアン・ラプソディ」で、極めて重要な役割に回されており、彼女が居なかったらこの回が無かったかも知れない、なんて考えると、前言を撤回したくなる。

他の回で面白いと感じたのは、全体的に親父臭さのある、ジェットが中心となって活躍した回。他にも「スピーク・ライク・ア・チャイルド」や「カウボーイ・ファンク」のような良回があったが、各話どれも捨てがたく、抜きん出て良い!と言えるのは、前述のとおり、#1「アステロイド・ブルース」だけ。

また暇があれば観たい作品で、私にもっと金銭的余裕があったなら、Blu-RayBOXを購入してしまっていたかもしれない。
何にせよ、しっかりとここに感想を書き留め、次に見直すときのための手助けを作っておこう。