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映画:ローマの休日

映画

ローマの休日

原案・脚本:ドルトン・トランボ
監督:ウイリアム・ワイラー

或る国の王女アンのローマ訪問を題材として、アンと新聞記者ジョー・ブラッドレーの一騒動と儚い恋を描いたロマンス映画。


ローマの休日と言えば、映画の定番中の定番。近年はこれを見ずには映画好きを自称する資格が貰えないどころか、常識人とさえ言う資格を貰えないような空気感が出来ている。それくらいに映画と言えばローマの休日、と言ったような雰囲気が私の身の回りではあった。

ここ数日毎日に渡り映画の感想を書いているが、私は映画は今までそれほど好きではなかったし、映画に詳しい訳ではない。私の映画についての知識というのは、アイドルが大好きな女子中学生の洋楽に対しての知識と同じくらい乏しく、ひとたび私が格好つけて「時計じかけのオレンジ」だとか「羊たちの沈黙」みたいな映画を見ようとしたものなら、「おい君、そんな頭でよくこんな映画を見ようなんて思ったものだね。君はこんな映画よりもっとお似合いのやつが――そう、スーパーマンだとかがいいんじゃないかな?」なんて感じで小ばかにされてしまうだろう。

この映画を見ようと思ったのは教養的な映画を抑えておこうと思うと思ったのが第一だが、それだけでなく、前述のような私を小ばかにしようと考える映画マニアたちへの「ほーらこれで私の貧相な映画知識が少しばかり豊かになったぞ、さあどうだ」と言ったような当てつけの意味もあった。


感想としては、きわめて幼稚な表現を用いてよいのなら、「すごくおもしろかった」の一言に尽きる。
物語の概要こそ知っていたものの、これまでの人生で一度もこの大定番を見て来なかった私には、何故この映画がこれほどまでにもてはやされるのか、どうにも理解できなかったのだ。これだけ持ち上げられながら、もし面白くないなんてことがあったのなら、私は一発文句をつけてやるぞ、とさえ思っていた。

一番魅力的だったのが、役者たちの、まさにど真ん中といった感じの演技だろうか。私みたいな映画をよく知らない阿呆でも、楽しいシーンでは素直にくすりと笑えるし、派手なシーンではうわあッと声を漏らせる、妙な手癖の無い振る舞いが非常に魅力的だった。
「この一日だけは、雨に濡れたいし冒険もしたいの」というアンと、当初5000ドル貰えるだけのネタ作りとしてその話に乗るジョー。やがて記事のネタとしてではなく、一人の女性として魅力を感じ始めるジョーと、これから一生ないであろう一日のために尽くしてくれる一人の男性として魅力を感じるようになるアン。と、物語自体も極めて明快で分かり易い。
時に現れるコメディ映画じみた演出も、物語の良い味付けになっている。それでいて話のたたみ方も綺麗で、疑問を残さずきっちり終わってくれる。

それから、これは飽くまで個人的な感想だが、主演男優のグレゴリー・ペック氏に、非常に惹かれた。
190cmという長身に加えて、存在感のある体格。それからきりっとした眉毛に、ふっくらした下唇、そして何よりスーツとネクタイがよく似合っているのがいい。
まさに私の男の理想像のような男性で、一人の男として、彼に憧れずにはいられなかった。彼の声による演技や、ちょっとした振る舞いもまさに男前と言った感じで、素晴らしいなと思った。

何故これほどまでにも高く評価されているのか、については十分すぎるくらい理解できた。これで私の映画知識も少しはましになったかな、と思う。

これを見ないなんて人生損しているよ、なんて事は言わないが、一日、二十四時間のうちの二時間をこの映画を見る為に費やしても、きっと無駄にはならないだろう、と思う。