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映画:秒速5センチメートル

映画

秒速5センチメートル
脚本:新海誠
監督:新海誠

遠野貴樹という一人の人間の成長を主軸として、篠原明里との遠距離恋愛や、澄田花苗の貴樹への片思いなどを描いたアニメーション映画。

「この映画は人を選ぶ」というのが先ず第一印象だった。
この映画は、男友達と騒ぎ、笑いあう学生生活を送って来た者や、恋愛に全く興味が無い者には、全く面白みのない映画に感じられるだろうと思う。それは、主人公である遠野貴樹が、そういった人間でないからだというのが先ず第一の理由で、そんな遠野貴樹を主軸として作品がつくられているから、というのが第二の理由。
端的に言うなら、登場人物の何者かと似通った性質を持っていて、その登場人物に感情移入することが出来ない人間には、只の退屈な悲恋映画でしかない、ということだ。

私自身は、主人公である遠野貴樹に似通った何らかを見出しながらも、自分がこれまで送ってきた人生と差異を感じ、少し羨ましく思いながら映画を眺めていた。
この映画は各二十分前後の全三話で構成されており、それぞれ、遠野貴樹の中学生時代、高校生時代、社会に出て以降、と言った風にまとまっている。
私が一番魅力的に感じたのは一話で、これが一番一つの小話として綺麗に、美しくまとまっていると感じた。貴樹と明里の転校別れ以降の文通、そしてそれを通じての再会といった一連の流れがすんなり作られていて、かなり見入ってしまった。
物語の内容について詳しく話すことが出来ないためあまり感想を書くことが出来ないのだが、二話、三話についても、とてもよいものだと思った。
短編アニメ集として作る予定だったものを一つの軸で繋ぐ、という方向転換を制作途中でした、との事だったが、一部の語られない部分を除けば、きっちり三話でまとまっており、非常に完成度が高いな、と思った。

感想としては、「胸が痛くなった」の一言に尽きる、と思う。
この映画は、面白いとか、面白くないとか、格好いいとか、格好悪いとかといった表現が出来ない。ここが良かった、なんて言える一番の魅せどころみたいなものもない。しかし確かに、一感情として筆舌し難いなにかと、胸の痛みが残る。

兎角この映画は言葉では表現しにくい。語彙力のない私には上手くこの一感情と胸の痛みを言葉で表すことが出来ない。
今の私には「”胸が痛くなりたい”人は是非この映画をみるといい」くらいしか言えないらしい